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9月23日 朝練講談会(貞弥&いちか)

 今日は朝練講談会の後、日本講談協会の定席に行くか史跡巡りに行くか、いろいろ迷うが、寝不足気味でさらに3時間講談を聴く気力はなく、史跡巡りも事前の下調べが不足。結局、コンピュータでのこまごまとした作業を最近サボってばかりでなんとかせにゃいかんと、朝11時だというのに下り方面へ向かう電車に乗車し早々と自宅へ帰りました。

★★★朝練講談会(お江戸日本橋亭 9時30分開演)

●田辺いちか 山田浅右衛門 大場仁庵
 ▽いちかさんのこの話はあまり聴いた事がなく2度目か3度目くらい。これから盛り上がるのかしら(亡霊が出てきて逆襲するとか)と思ったら、結局何にもありませんでしたと肩透かしをくらったかのような展開。「なにも起こらない」が故に主人公の首斬り役人の苦悩が逆に浮かび上がる。「こうぎおとけいのまおぼうず」とは「公儀お土圭の間お坊主」で江戸城で時計を置いて時報の任にあたる坊主のことらしい。
 ◇公儀お土圭の間お坊主である大場仁庵は道楽者でしかも悪事ばかりを働いている。あまりの悪行のためお役目後免になり、今は大場仁三郎、通称ニサ坊主と名乗って、遊び人として生活を送っている。ある時バクチで50両という借金を抱え、どうするか迷った仁三郎は山田浅右衛門から金をせしめようと思い立つ。山田浅右衛門は九代続く首斬り役人で、死罪となった者の首を斬る役目。首を斬った後、身体から生き肝を取り出しそれを山田丸(がん)と称して売って大層儲けているという。仁三郎は自身も遅かれ早かれ首を斬られる身と、自分の肝を使って儲けるなら今ここで50両の金で前もって買い取るよう迫り、浅右衛門もこれを受け入れる。
 それから、仁三郎は湯屋へ行く途中で10人ほどの役人に囲まれ捕らえられる。小伝馬町へと牢送りになり、打首になる。首斬り役人は山田浅右衛門であった。その夜、浅右衛門は高熱にうなされる。厠にいった帰り、雨のシトシトと降る庭の物陰を見るとそこには仁三郎の姿が。浅右衛門が罪人の生き肝を売って大儲けしているというのは、だたの噂話であった。それどころか死んだ罪人の菩提を念入りに弔い、辞世の句を解するために詩歌も学んでいた。浅右衛門は間もなく亡くなる。浅右衛門の辞世の句「蜩(ひぐらし)や地獄をめぐる油皿」。これは自分が斬ってきた罪人たちのもがき苦しむ様を詠んだものか、あるいはこのような人の命を奪う稼業で生きる自らの憂苦を詠んだものか、今となっては分からない。

●一龍斎貞弥 名月若松城
 ▽いろいろな人でこの話は聴いたが、20分くらいで割とあっさり演じる人が多いように思う。結局、氏郷が名君なのが愚将なのか、そこらを分からすことがこの話のキーポイントなのであろう。貞弥さんの今日の高座は、マクラでの男女関係の例えもよく本編に絡まっており、また時間がたっぷりあったので話中の説明は懇切丁寧。口で言う事と実際考えている事が違うとか、言っていることに一貫性が無いとか、それもまた疑うことなき人間の一面。あまり理で攻めるばかりでなく、こういう人間の不完全さを(ある程度は)受け入れる寛容さが、個人でも組織でも要るのではあるまいか。いや、紛れもなく私は理で攻めてしまうタイプの人間なんだよな。
 さらっと感覚で聴く講談も良いけれど、こういう主題をはっきり分からせる講談も面白い。
 (10時28分終了)
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