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8月11日 朝練講談会、阿久鯉『祐天吉松』@四谷・須賀神社

★★★朝練講談会 灼熱の六日間連続読みの会(お江戸日本橋亭 9時21分開演)

終演後の玉川太福さん、宝井梅湯さん
●宝井梅湯 関東七人男(第1話)新太郎の強請
 上州沼田、溝呂木村の商家、澤瀉屋(おもだかや)は沼田でも屈指の大家で、主は孝右衛門という。孝右衛門には18歳になる娘のお初、17歳になる佐太郎、15歳になる孝次郎と3人の子供がいた。ある時、2人の息子が剣術を習いたいという。あれこれ探した結果、バクチ打ちの親分の新太郎の用心棒で小野村格之進と斎藤伝八の2人が剣術の指南をすることになる。もとより筋が良かった様で2人の息子はメキメキと上達をし、父親に頼んで家の裏の畑に道場を拵えてもらう。姉のお初は道場を覗き、また子分の様子を伺いに新太郎も道場に来る。いつしか2人は深い仲になった。
 これはとんでもない事になったと番頭の忠兵衛は主人に事情を打ち明ける。小野村、斎藤の両名が剣術の稽古に来るから親分の新太郎も来るのであって、2人を出入り止めにしてしまえば新太郎も来れなくなり、お初との縁も切れるだろうと考える。
 翌日、番頭は小野村と斎藤に、商人の倅が剣術など習う必要が無いと親類から苦情が来ている言い、稽古はしばらく休んでもらいたいと告げる。今までの礼として紬と金5両を渡すと2人は澤瀉屋を出る。しかしこれは新太郎とお初を引き離すための方便だと気づく。
 しばらくして、新太郎が旦那に会いたいと言って澤瀉屋に来る。主人は留守だからといって番頭が応対する。新太郎はお初とどうしても夫婦になる。相手がヤクザだといって断るなら手切れの金は千両だと言って脅す。新太郎が去った後、番頭は実は奥の部屋にいた主人と相談し、目明し(役人の下っ端)の小衛門に事情を話して、郡(こおり)奉行に掛け合ってもらうことに決める。小衛門には50両、郡奉行の加藤藤作には100両という金を内々に渡し話はついた。娘を差し上げますと言って新太郎の家に駕籠を差し向ける。そしてその駕籠にはお初ではなく、新太郎を捕らえるために加藤藤作を乗せておくという策略を立てる。

●玉川太福(曲師:玉川みね子)天保水滸伝 繁蔵売り出す
 銚子の観音前の五郎蔵は300人という子分を抱える親分。そこを繁蔵と名乗る者が身内にして貰いたいと訪ねてくる。最初は熊吉が相手にし、兄貴分の飯岡助五郎に告げると、貫禄がある者だからと、奥の部屋にいる親分に取り次ぐことになった。長火鉢の前に座る五郎蔵と繁蔵は対面する。繁蔵は背丈が5尺8寸5分、目方23貫もあるという大男。以前は江戸で相撲を取っており、幕内までもう一歩というところまで来ていたという。繁蔵は元は下総国干潟菅山の造酒屋、岩瀬源右衛門の倅である。幼いころから気性が荒く、ある日土地の男と喧嘩して、ふとしたはずみでその男は死んでしまった。わざと殺したわけではないが、故郷には居づらくなり、父や兄の許しを得て、江戸へ出て相撲取りになった。男っぷりが良くて強いという事でたちまち人気者になったが、これを気に食わないのが稲妻雷五郎。宴会の席で雷五郎の一番弟子、虹ヶ岳と30両の金を貸せ貸せないで争いになるが、その場はなんとか収まった。翌日、虹ヶ岳との闘いで、虹ヶ岳は脳震とうを起こし、土俵から落ちて二度と相撲の出来ない身体になってしまった。これを悔恨した繁蔵は相撲を辞め、ヤクザ稼業へと身を転じようと考える。
 五郎蔵の身内になった繁蔵。元は相撲取りで滅法強いのですぐに親分のお気に入りになり、小さな漁場は任せられるようになる。菅山の入口に十一屋という旅籠がある。流鏑馬の仁蔵は跡目を探していたが、繁蔵に白羽の矢が当たった。始めは断っていた繁蔵だが、この家を潰しても構わないからと言われ、結局は引き受ける。繁蔵はあっという間に80人の子分を持つ親分になる。
 (10時23分終了)

★★★鯉のゆくえ 神田阿久鯉の祐天吉松を聴く会(四谷・須賀神社 14時31分開演)

●神田阿久鯉 祐天吉松 吉松、祐澤(ゆうたく)となる事
 元は両国界隈の巾着切りだった吉松。縁あって加賀屋七兵衛の娘、おぬいと夫婦になり七松という子にも恵まれる。裕福な商家の養子になり満ち足りた日々を送っていた。そこへ訪れたのがかつての巾着切り仲間の立花金五郎。何度も何度も吉松の元へ足を運び金を無心する。ある日、吉松は金五郎を御茶ノ水の土手に誘い出し斬り殺そうとするが、逆に土手から突き落とされてしまった。何とか助かった吉松はこれ以上加賀屋には迷惑は掛けられないと家には戻らず、やはり元の巾着切りの仲間であった武蔵屋の半治の元で世話を受ける。半治の紹介で、水戸家の四宮先生という剣術の指南番の屋敷に住まわせてもらい、そこで稽古を付けてもらい復讐を誓う。
 一方、立花金五郎は加賀屋の家に押し入って主人夫婦や奉公人を皆殺しにして火を付ける。留守だったおぬいと七松は難を逃れるが、家族も家財も失った2人は乞食同様の暮らしをすることになる。
 吉松は誤りから侍を1人殺してしまう。本来ならお手打ちになるところだが、何かの手違いでお目こぼしになる。
 そして下谷の広徳寺の日敬和尚の元に身を預けられる。祐澤(ゆうたく)という名を与えられ、頭を坊主にして仏道の修行をする。ある日、使いを頼まれた祐澤は、夜更けの帰り道、両国橋を渡ろうとする。そこで見つけたのが欄干に片足を掛けて身投げしようとしている老人。祐澤は後ろから抱き抱えてこれを助ける。
 事情を聴くと、この老人は本所松坂町一丁目に住む者で、空樽を集めてまわる商売をしていた。3年前女房が長患いの末に死んだが弔いにだす金がないので、本所横網のお辰という婆から5両の金を借りた。なかなか金を返せないでいると借金の借り換えで新しい証文に印を押した。老人には19歳になる「お栄」という娘がいる。しばらくして借金を返してもらえないならとこの娘を奉公に出すことになる。またしばらくして今度は娘に客を取らせるという。老人は長らく付き合いのなかった親類を頼ってどうにか15両という金を得た。藤兵衛という者に頼んでお辰婆と折衝してもらうが、向こう側が要求したのは51両2分という額で、証文もあると言う。藤兵衛は15両を持って行くが、これでは全く足りないとお辰は受け取らず、用心棒として雇っている荒磯権蔵という相撲取りに投げ飛ばされてしまう。こうして老人は失意のうちに両国橋から身を投げようとしていた。
 祐澤は一旦、広徳寺に帰る。なかなか帰ってこないと待っていた日敬和尚に一部始終を話す。和尚は憎いのはお辰という婆ァだといいながら、要求額の半分で話を付けろ、力尽くでは無く必ず丸く事を収めろと25両の金を祐澤に渡す。
 本所横網町のお辰婆の家を訪ねた祐澤。この25両で証文と娘を渡して欲しいと頼むが、お辰婆は聞き入れず、相撲取りの荒磯権蔵に襟首を取られ表に突き出されてしまった。家の中からはあざけりの笑い声が聞こえる。喧嘩をしたいところだが、和尚から事を丸く収めろと言われているからと堪える。
 そこで本所中之郷原町に住む三河屋万蔵という元締めに口を利いて貰おうと考えた。しかし期待に反して万蔵にこれを断わられる。怒りいっぱいで家を飛び出す祐澤。しかし万蔵には実は考えがあった。
 祐澤は坊主なのにも関わらず、浅草で酒をたらふく飲み、生臭ものを食べる。絵草子屋の錦を見ながら坊主が闘ってもいいではないか。お辰婆と荒磯権蔵を懲らしめ、次には荒磯の師匠である横綱・稲妻雷五郎に闘いを挑むが、ここで三河屋万蔵が間に入って事を収める。男を売り出した祐澤は還俗して万蔵の養子になり、再び仇である立花金五郎を追い探す。
 <仲入り>
●神田阿久鯉 祐天吉松 吉松とおげんとの出会い
 浅草田町二丁目の稲毛屋という駕籠屋の主人、六兵衛はまじめな男で「おげん」という娘がいる。おげんは行儀作法を覚えるために18万5千石の大名、松平出羽守の屋敷に腰元奉公に出る。
 おげん18歳の時のこと。出羽守はお忍びで市中を歩いて下々の様子を観察し、それを江戸城に登城した際、他の大名たちに自慢話するのがお好みだった。その日も興味から、銭湯というものに入って町人たちと一緒になる。ふと身体を洗っている者を見ると、五体に絵が描かれている。この絵はいくら洗っても落ちない。不思議に思った出羽守が問うと彫物というものだと分かり感心する。
 屋敷に戻った出羽守は彫物に関心を持ち、江戸でも指折りの彫師の金太を呼び付ける。家来が制止するのも聞かず、腰元たちの腕の白い肌に目立たぬよう小さな彫物を入れさせる。これを見て出羽守は喜ぶが、腰元たちは肌を汚されたことを嘆き泣く。一同困り切っていたところ、おげんは、どうせ彫って貰うならば出来るだけ大きくて目立つものを言う。動物を彫るのが得意であった金太はおげんの背中にオロチ、大蛇を精根こめて彫り込む。今にも動き出しそうな、まるで生きているような見事な出来栄えである。これを見て、出羽守はおげんの事をあっぱれと思う一方、自らの浅はかさを悟りこれを限りに彫物を入れさせるのは止める。嫁に行けないと嘆いている腰元たちには十分な手当てを与えた。
 おげんの母親が病気になり田町の我が家に戻るが、間もなく母親は亡くなる。おげんはそのまま家に残り、父親の六兵衛の世話と家の仕事をこなし、店は繁盛する。近所の人たちからは稲毛屋の孝行娘と呼ばれている。
 ある時、1人の酔っぱらった侍が店を訪れ、駕籠を一挺あつらえて欲しいというが生憎とすべて若い者が出払っている。近くの店から人を借りてくるとおげんは出かける。なかなか帰って来ないので侍は機嫌が悪い。六兵衛が取りなすが、粗相から棚の上に置いてあった駕籠の棒が落ち、先端が侍の眉間に当たって出血する。六兵衛は両手を付いて謝るが、侍の怒りは収まらない。六兵衛を肩先から斬り、首を打ち落としてしまった。侍は血刀を下げて自身番の中へ入っていく。家へ帰ったおげんは変わり果てた父親の姿を見て嘆く。台所から出刃包丁を持ち出して自身番の中に駆け込み、仇を取ろうとする。侍は酔いの上から些細な事で人を殺めてしまったと後悔していた。もとよりこの娘を斬る気はなく、娘の振りかざす庖丁をヒラリヒラリとかわしている。そこへ吉松が通りかかった。今のところ侍は本気ではないが、このままでは我慢できなくなった侍に娘は殺される。吉松は侍の眉間めがけて石を投げる。見事命中し侍はよろけ、その隙におげんはみぞおちに包丁を突き刺す。侍は絶命した。
 侍の身元を調べるが、小娘に刺されるとは情けない、当藩ではそんな侍は知らぬと相手にされない。おげんの受けた罰もごく軽いものだった。吉松が石を投げた件についてもうやむやになる。これが縁で吉松とおげんは夫婦になるのであった。
●神田阿久鯉 笹野名槍伝 権三郎虚無僧
 (16時45分終了)

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