FC2ブログ

記事一覧

8月18日 本牧新鋭講談会@御茶ノ水(新メンバーでスタート)

 隔月、御茶ノ水駅前の居酒屋「太陽」で開催されている『本牧新鋭講談会』だが、本日から大幅刷新される。この会は故・田邊孝治氏の肝いりで2003年2月から連続物を読む場として始まる。当初のレギュラーは神田陽司、神田阿久鯉、田辺一邑、一龍斎貞橘、田辺駿之介(現・鶴遊)の5人で陽司没後は神田山緑が加わる。前回で阿久鯉、一邑、貞橘は卒業し、今回からは神田織音、田辺一乃、宝井琴柑が新メンバーになる。

★★★本牧新鋭講談会(13時01分開演 御茶ノ水・太陽)

●田辺凌天 三方ヶ原軍記
●宝井琴柑 三方ヶ原軍記 内藤物見
 ▽琴柑さんは連続物として『三方ヶ原』を読む。何かと難解な修羅場読み。今回はお馴染みの箇所だったがこの先どうなるか…。
●田辺一乃 伊達騒動(1)三万石の市正(いちのかみ)
 ◇明暦元年弥生のこと。とある大身の姫君が供の者を引き連れて、浅草の観音様へ参詣に向かう。観音堂へと進もうとしていた時、石段を上から降りてきた一人の若い侍とすれ違う。その身なりからして身分ある者で、しかも目の覚めるような美男子である。姫の女中が尋ねると、その侍は3万石を拝領する市正(いちのかみ)様であることが分かる。しかし苗字までは分からない。
 この姫君は酒井雅楽頭(うたのかみ)の末の娘で万手姫(までひめ)という。雅楽頭は播州姫路15万石を領し、今をときめく大老として権勢をふるっている。万手姫は今年18歳で器量の良い娘であるが、よほどの美男子でなければ縁付こうと思っていない。さてこの万手姫、浅草に参詣して以来、屋敷の内で鬱々となり「どこにも嫁には行かず尼になる」となどと言う始末。萩原道伯という幇間医者が調べてみた結果、姫が浅草で出会った市正という者を見染めたことが分かった。仙台・伊達兵部少輔(だてひょうぶしょうゆう)の分家で一ノ関3万石を領する若君が市正様という。この方に違いないと道伯は思う。
 道伯は酒井雅楽頭と伊達兵部少輔とに、万手姫・市正両人の縁談話を持ちかける。雅楽頭は万手姫に問い質すが、「3万石を領する市正様」と聞いてもちろん姫に異存はない。こうしてトントン拍子に話は進み、市正と万手姫の婚礼が決まった。
 万手姫は市正の屋敷にお輿入れになり、婚礼の式も終わる。さて、いよいよ当の市正の顔を見ると浅草で出会った方とはまるで違うブサイクな男である。「童(わらわ)は間違ったのじゃ」と絶叫する姫。
 それから姫は病気ということで、市正には会おうとしない。半年ほど経って、勢喜(せき)という女中が奉公に上がる。万手姫は勢喜にここに奉公に来る以前のことを尋ねる。彼女は佐土原の姫様に奉公していたが、その姫様がお輿し入れになり一緒に着いて行った。その家は紀州の分家で市正様と仰せになったという。「童はこの人と間違ったのじゃ」と絶叫する姫。もう悔しくてしょうがない。しかしさらに聴くと、絶世の美男子である市正は女癖がひじょうに悪く、佐土原の姫には暴力をふるうような有様でこれを苦に姫は亡くなってしまったと言う。
 これを聞いて万手姫は目が覚めた。自分の夫である市正は顔こそはブ男であるが、心は優しい人である。この方に付いていこう。打って変わって市正と万手姫は仲睦まじくなる。これが長い『伊達騒動』の発端であるのだが、続きはまた次回。
●神田織音 柳生旅日記(1)十兵衛と沢庵禅師
 ◇剣術の名人で江戸・木挽町に居を構える柳生但馬守宗巌(むねよし)には4人の子供がいるが、その総領が十兵衛である。十兵衛は幼い頃から立ち振る舞いに隙がなく但馬守もその将来を楽しみにしている。十兵衛は二十歳になり、但馬守はその力を試してみようと思う。夜中、十兵衛が便所へ出かけた折に、茂みに隠れていた但馬守は、十兵衛めがけて石を投げる。石は十兵衛の右の眼に当たった。「曲者」。十兵衛は左眼を押さえて茂みの中に飛び込む。「無礼者。父であるぞ。お前に隙がないか試したのじゃ」。この時十兵衛は右眼を傷つけたが、押さえたのは左眼であった。両眼を傷つけられてはもはや武芸者として成り立たないので、左眼を守ったのである。もはやこの者は武芸の極意に至っていると、いよいよ但馬守は十兵衛に期待を寄せる。
 この頃から、十兵衛の言動がおかしくなる。但馬守は静養のため十兵衛を大和・柾木坂(まさきさか)へ送るが、十兵衛はますます気が変になってく。これを聞いて心苦しく思う但馬守であったが、将軍家剣術ご指南番という大事な役目がある。。
 ある日、上様への稽古を終えて廊下を下がる途中、品川東海寺の沢庵禅師に話しかけられる。但馬守は十兵衛の病気について相談すると、沢庵は「拙僧が治して見せよう」と言う。沢庵は東海道を西に歩き、十兵衛のいる大和・柾木坂までやって来る。陣屋に入り、沢庵は縁側に腰掛けていると、頭の狂った十兵衛が現われる。沢庵は十兵衛に「お前は武芸の心得が分かっていない」と言い、一首の歌をしたためる。「たたずむな 行くな戻るな 居座るな 寝るな起きるな 知るも知らぬも」。はて、これはどういう意味なのか。十兵衛はなんども歌を詠み考えるが分からない。「この坊主を行燈部屋に閉じ込めておけ」。沢庵は行燈部屋へ押し込まれる。それから3日間、十兵衛は一睡もせず歌の考えるがやはり分からない。やがて疲れたのかグッスリ寝入る。しばらくして目が覚めると、十兵衛は正気に戻っている。そこへ現れたのは沢庵禅師で十兵衛は平伏する。和歌の意味は実は沢庵にも分からない。沢庵はわざと十兵衛の頭を疲れさせ、ゆっくり心を休ませることで精神を落ち着かせた。そして十兵衛は正気を取り返したのだ。十兵衛には剣の腕前は十分にあるが、心の内がまだ未熟であると諭す沢庵。
 沢庵は江戸に戻って、但馬守に一部始終を話す。十兵衛が正気に戻ったと聞いてこの上もなく喜ぶ但馬守。この話は家光公の耳にも入る。しばし思案した家光公は人知れず十兵衛に会いたいという。そっと江戸に戻った十兵衛は、夜になって登城すると、そこには家光公と大久保彦左衛門がいる。十兵衛にこれから諸国を巡って、諸大名の様子を探って参れと密命が下される。謹んでこの役を引き受けた十兵衛。朝になって木挽町の屋敷へ戻るが、またおかしな言動をし出す。心の病であると偽って出かけた方が、お役目の上で都合がよかろうと、沢庵禅師は言う。但馬守はこの事を知らず、またも頭がおかしくなってしまった十兵衛には、もはや家督を譲ることは出来ないと嘆く。さて、これから十兵衛の旅は始まるが、その話はまた次回。
<仲入り>
●神田山緑 国定忠治(1)額太郎との出会い
 ◇上州佐位郡(さいこおり)国定村に生まれた忠治。忠治は優しい男で14歳の時、父親の忠作が長患いになる。忠治は父親の看病をしながらいろいろと働くが、ある日、名主の武左衛門から馬方の仕事を紹介される。こうして忠治は馬方として商売を始め、日に三百文、四百文稼ぐ。
 忠治は17歳になり、十一月の中頃、山から吹き下ろす寒風が身にこたえる時期、高崎の城下までの客を乗せる。客は忠治が単衣(ひとえ)の着物を着ていることに気付く。忠治は親が病気であり医者代や薬代で金が掛かることを話す。これを聞いて男はヒラリと馬から降りる。「少ないけれどこれを取っておけ」。二分金で十二両二分という金である。「お名前だけでも聞かせてください」というと、男は答える。「俺は日光無宿の大天狗、額太郎(がくたろう)という盗人だ」。男は元は侍だったが、バクチに凝ってこういう渡世になった。3年前に大飢饉があり、民百姓を救うために金蔵に盗みに入った。今、渡した金は盗んだものではないので取っておけ、こう言って去る。忠治は家へ帰り、父親にこの話をすると涙を流して喜ぶ。
 この後、忠治は『長岡忠治』として名を馳せていく。また額太郎は忠治の右腕になって活躍するのだが、その話はまたの機会に。
●田辺鶴遊 快男子(1)仁礼半九郎
 (15時56分終了)

180818a本牧新鋭講談会@太陽


講談の情報ページ『講談るうむ』はここをクリック

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント